キネマ・ジャングル

国・年代・ジャンルを問わず、心に響いた作品について呟いてみる映画ブログです。

夢追い人の春夏秋冬『ラ・ラ・ランド』

こんにちは、キーノです。

 

今回の作品は『ラ・ラ・ランド』

デイミアン・チャゼル監督、2016年・アメリカ・128分

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Credit:Amazon.co.jp

何を今更感は否めませんが、久しぶりに鑑賞。やっぱり色彩と音楽がズバ抜けて素晴らしい。

 

公開後すぐにサントラを購入して、いまだに聴いているほど飽きがきません。

(ここ2年ほど、朝の目覚ましは「Another Day of Sun」のままです。)

 

今やすっかり、次回作を心待ちにする監督の一人になったチャゼル監督。

 

新作と噂される「Babylon」も楽しみです。

 

ハイウェイ上の夢追い人

オープニングから一挙に心を鷲掴みにされます。

 

LAに繋がるハイウェイの渋滞。車から次々に飛び出してくる夢追い人たち。

 

彼、彼女らが歌って踊る「Another Day  of Sun」

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Credit:youtube

こんなにたくさんの夢追い人がいながら、成功するのはほんの一握り。もしかしたら、ここにいる全員が失敗し、挫折するのかもしれません。

 

このオープニングのおかげで、ミアが最後に歌う「Audition(The Fools who Dream)」の感動が一層増します。

 

「夢追い人に乾杯を…」

 

 

「春夏秋冬」の円環構造

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Credit:youtube

その渋滞の中に、ジャズバーを開きたい青年セブと女優を夢見るミアの姿が。

 

二人のニアミスから、春夏秋冬の円環する物語が幕を開けます。

 

といっても始まりは冬から。

 

映画撮影所のカフェでバイトするミア。

コーヒーを買いに訪れた女優に羨望のまなざしをおくる。

 

その後、パーティーの帰り道、聞こえてくるピアノの音に惹かれるように店内へ。

ピアノの奏者はセブだった。

 

ここが2人の原点であり、円環構造の始まりに。

 

2人は、春・夏・秋と仲を深め、恋をし、成長するも、恋愛は夢の成就のために犠牲になります。(ここは前作の『セッション』と同じですね。)

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Credit:youtube

結局、夢を叶えた2人は、別れから5年後の冬に、セブが開いた念願のジャズバーで偶然、再会します。

 

そこで現れるあのラストは、2人が同時に夢見た「ifもしも」の光景でしょう。

(ミア視点に寄ってる気もしますが、そう信じたい。)

 

一年は、春夏秋冬を通して円のように戻ってきて、一周するごとに人は立ち位置を変えていきます。

 

ミアも5年前はカフェ店員でしたが、今度は女優となって同じ店を訪れました。

 

季節が一周する間に、どれだけ成長し、どれだけ夢に近づけているか。

(そういう意味では、毎年暮れ近くになるとヘコんでます…)

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Credit:youtube

ただ、過ぎた時間はもう戻ってきません。セブやミアのように成功した人ですら、ifを求めます。

 

それでも2人は「これでいいんだ」と目で別れを告げ、セブは「1.2.3」のカウントで次の曲に入ります。

 

2人は過去に区切りをつけ、もう次の一周に、春夏秋冬に入っていったのです。

 

この終わり方、シビレましたね。

 

とても好きな作品。チャゼル監督の次回作が楽しみです。

 

おまけ

オープニングをパロディした「第74回ゴールデン・グローブ賞オープニング映像」が個人的にとても好きです。

 

スターが一堂に会する光景はいつ見てもワクワクしますね。


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