至高のジプシー映画3選〜自由と音楽、ときどき魔術〜
こんにちは、キーノです。
今回は、至高のジプシー映画3選!
「ジプシー映画にハズレなし」と言い切ってしまいたいほど、彼らの物語は魅力に満ち溢れています。
その中でも、特に僕が好きな3つのジプシー映画がこちらです。
『パプーシャの黒い瞳』
クシシュトフ・クラウゼ監督、2013年・ポーランド・131分
書き文字を持たないジプシーとして生まれながらも、幼少期から言葉に魅せられた少女パプーシャ。
本作は、ジプシー史上初の女性詩人となった実在の人物ブロニスワヴァ・バイス(1910-1987)を描いた物語。
モノクロームで魅せる遠景の美しさが際立つ名作です。
もはや単なる白黒ではなく、スノーグレイと呼びたくなるような情景の数々は、まるで動き出した絵画のよう。
ファーストカットの壮観に息を呑んだ瞬間は死ぬまで忘れません。
『ガッジョ・ディーロ』
トニー・ガトリフ監督、1997年・フランス・102分
ロカルノ国際映画祭 銀豹賞受賞
亡き父が遺したカセットテープ。
そこに録音された幻の歌姫「ノラ・ルカ」を探して、青年ステファンは一人旅に出ていた。
たどり着いたジプシーの村に居つくことになり、最初はよそ者扱いされるものの、徐々に仲を深めていく。
「ガッジョ・ディーロ」とは、ジプシーの言葉で「愚かなよそ者」という意味。
主演の2人以外は、皆本物のジプシーが演じています。ジプシーたちの生の息づかいが聞こえる傑作ですね。
『ジプシーのとき』
エミール・クストリッツァ監督、1988年・イギリス、イタリア、ユーゴスラビア・126分
第42回 カンヌ国際映画祭 監督賞受賞
ラストはやっぱりクストリッツァ作品です。『黒猫・白猫』は、僕の中で殿堂入りしているので、今回はこちらを。
両親を亡くしたベルハンは、足の悪い妹と一緒に、祖母の家で暮らす心優しき青年。
彼は祖母から魔術の力を受け継いでいて、ちょっとした念動力が使える。空き缶をズズズと動かしたり、フォークをピョンと飛ばしたりできるのだ。
しかしベルハンは、ジプシーの子どもたちに物乞いをさせて金を稼ぐジーダ兄弟に騙され、自らも悪道に染まってしまう。
ジプシーの負の歴史を断ち切ろうとするベルハン。彼が垣間見る夢は、彼岸に佇む幻想世界のように甘美です。
大地を移動しながら自由に生き、音楽をこよなく愛して、ときどき魔術まで使い出すジプシーたち。
悠々自適なその姿を見るにつけ、生きる楽しみが思い出されます。