キネマ・ジャングル

国・年代・ジャンルを問わず、心に響いた作品について呟いてみる映画ブログです。

ポップに弾ける恋愛&犯罪劇『はなればなれに』

こんにちは、キーノです。

 

今回の作品は『はなればなれに』

ジャン=リュック・ゴダール監督、1964年・フランス・96分

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Credit:Amazon.co.jp

原題は「Bande à part」。

あのタランティーノ監督の映画制作会社「A band apart」の元になった作品ですね。

 

白状すると、ゴダール監督は苦手な作品の方が多いです。

 

映画史上の名作と名高い『勝手にしやがれ』も『気狂いピエロ』も合いませんでした。

 

ただ本作はとても小気味良く、好きな作品です。

 

あらすじ

色男のアルチュールと根暗のフランツは、社会的に落ちぶれた2人組の若者。

純朴な娘オディールを巻き込み、彼女の叔母の家に隠された大金を強盗する計画を立てるのだが。

 

ハジけるような小気味良さ

本作は、幕開けから全力でポップです。

 

弾けるような音楽に合わせて、3人の顔が目まぐるしくシャッフルされるオープニング。

これから始まる3人組の騒動が匂いたちます。

 

ちょうど良いのがありました。

youtu.be

 

話の主軸は、大金の強盗ですが、それよりも枝葉のようにくっつく挿話が面白いです。

 

 

とあるカフェに赴く3人組。

 

根暗のフランツは「話すことがないなら、1分間沈黙ゲームをしよう」と2人に持ちかけます。

 

オディールの「アン、ドゥ、トロワ!」の声とともに、映画自体も無音状態に。

 

観ている側もゲームに強制参加させられている気分です。

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Credit:youtube

フランツの「もうダメだ」の声とともに、映画自体も息を吹き返します。

 

空気欲しさに、水面に弾け出たときの感覚に似ていました。

 

 

極めつきは、その後、3人で踊る「マディソン・ダンス」。

 

カフェの真ん中で人目も憚らず、息のあったステップを始めます。

 

映画の中のダンスシーンは、なぜこれほど魅力的なんでしょう。

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Credit:youtube

ルーブル美術館を全力で駆け抜けるシーンも最高です。

 

3人は、とあるアメリカ人がルーブル美術館を9分45秒で鑑賞したという話を知り、記録更新に挑みます。

 

来館者の視線もお構いなく、止める警備員を振り切り、3人は館内を疾走。

結果は9分43秒。

 

なんてポップな映画でしょうか。