ポップに弾ける恋愛&犯罪劇『はなればなれに』
こんにちは、キーノです。
今回の作品は『はなればなれに』
ジャン=リュック・ゴダール監督、1964年・フランス・96分
原題は「Bande à part」。
あのタランティーノ監督の映画制作会社「A band apart」の元になった作品ですね。
白状すると、ゴダール監督は苦手な作品の方が多いです。
映画史上の名作と名高い『勝手にしやがれ』も『気狂いピエロ』も合いませんでした。
ただ本作はとても小気味良く、好きな作品です。
あらすじ
色男のアルチュールと根暗のフランツは、社会的に落ちぶれた2人組の若者。
純朴な娘オディールを巻き込み、彼女の叔母の家に隠された大金を強盗する計画を立てるのだが。
ハジけるような小気味良さ
本作は、幕開けから全力でポップです。
弾けるような音楽に合わせて、3人の顔が目まぐるしくシャッフルされるオープニング。
これから始まる3人組の騒動が匂いたちます。
ちょうど良いのがありました。
話の主軸は、大金の強盗ですが、それよりも枝葉のようにくっつく挿話が面白いです。
とあるカフェに赴く3人組。
根暗のフランツは「話すことがないなら、1分間沈黙ゲームをしよう」と2人に持ちかけます。
オディールの「アン、ドゥ、トロワ!」の声とともに、映画自体も無音状態に。
観ている側もゲームに強制参加させられている気分です。
フランツの「もうダメだ」の声とともに、映画自体も息を吹き返します。
空気欲しさに、水面に弾け出たときの感覚に似ていました。
極めつきは、その後、3人で踊る「マディソン・ダンス」。
カフェの真ん中で人目も憚らず、息のあったステップを始めます。
映画の中のダンスシーンは、なぜこれほど魅力的なんでしょう。
ルーブル美術館を全力で駆け抜けるシーンも最高です。
3人は、とあるアメリカ人がルーブル美術館を9分45秒で鑑賞したという話を知り、記録更新に挑みます。
来館者の視線もお構いなく、止める警備員を振り切り、3人は館内を疾走。
結果は9分43秒。
なんてポップな映画でしょうか。