色あせない青春映画の名作『恋しくて』
こんにちは、キーノです。
今回の作品は『恋しくて(Some Kind of Wonderful)』。この原題の響きが良いですね。
ハワード・ドゥイッチ監督、ジョン・ヒューズ脚本、1987年のアメリカ青春映画(95分)です。
あらすじ
ガソリンスタンドでバイトをする高校生キースは学校のはみ出し者。
友達もボーイッシュで男勝りの女学生ワッツだけだ。
キースは美人な上級生アマンダに片想いをしているが、中々話すきっかけがつかめないでいた。
ワッツに相談を持ちかけるが、実はワッツはキースに対して密かに恋心を抱いていたのだった…
本作は僕が偏愛するジャンル80's青春映画の内の一本。
自分が恋する相手に恋愛相談を受ける、そのもどかしさ、複雑さを隠すワッツの表情が堪りませんね。
オープニングのドライヴ感
疾走感溢れるドラムロックで幕開けるオープニング。
このシーンは今後の展開を巧みに予示してくれます。
登場するのは3組(4人)の高校生たち。
1組目(1人)は、汚れた作業服でバイトをする主人公キース。
台車に寝そべって、車体底部を修理しています。
2組目(1人)は、汗だくでドラムの練習をするワッツ。
流れるドラムロックは彼女の練習音と重なります。
3組目(2人)は、キースが片想いしているアマンダとその恋人でボンボンのハーディ(本作の悪役)。
このカップルがベッドに寝そべるシーンとキースが台車に寝そべるシーンが交互に並べられます。
ここで「おや?身分違いの恋が始まるのかな」との予感。
このオープニングが「これから三つ巴の恋愛合戦が始まりますよ」ということを予告してくれます。
青春群像の妙は脇役で決まる!
青春映画の醍醐味は脇役のキャラクターです。
いかに脇が魅力的か、どのようにして彼らが主役のいざこざに関わるのか。
これで青春群像の面白さが決まると言って過言ではないですね。
その意味でジョン・ヒューズ印の青春キャラに間違いはありません。
まずはキースの妹2人。
長女の方はキースの部屋に無断で入ったりと、いつも喧嘩ばかり。しかし最後にはキースにしっかり助け舟を出してくれます。
次女は幼いのに奇妙なほど冷静で論理的。「家の朝食はバランスが悪くて、血液循環が悪くなる」なんて真顔で言う彼女は「見た目は子供、素顔は大人」です。
そして不良のヘッドであるダンカン!『タクシー・ドライバー』時のデニーロに似たニヒルな笑みが印象的です。
最初はキース/ワッツ組に喧嘩をふっかけたりと狂犬ムード満載。
キースが罰として早朝授業に出ると、教室にはチンピラ軍団を引き連れたダンカンもいました。
一触即発!かと思いきや、キースが得意の絵をノートに描く。ダンカンもナイフで机上に彫刻絵を描く。
それをお互いに見せ合う。2人は押し黙ったまま「上手いやないか、お前」と無言の賞賛。
これで友情の出来上がり。
ラストのキース絶体絶命のピンチに駆けつけてくれたダンカン軍に「うぉ来た〜、ありがと〜!」でした。
やっぱり青春映画は良いものですね〜。