キネマ・ジャングル

国・年代・ジャンルを問わず、心に響いた作品について呟いてみる映画ブログです。

地上最強のハッピー婚活ムービー!『ウェディング・ベルを鳴らせ!』

こんにちは、キーノです。

 

今回は、キング・オブ・婚活ムービー『ウェディング・ベルを鳴らせ!』。

 

2007年のボスニア・ヘルツェゴビナ映画で、監督はあのエミール・クストリッツァ‼︎

僕の最も好きな監督の1人です!

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Credit:movies.yahoo

田舎っぺ少年によるお嫁さん探しの冒険、マフィアとのドタバタ騒動、そこにぶち込まれるお馴染みのバルカン音楽。

 

観てるだけで体は自然とバウンドし始めて…もう楽しくないわけがない

 

あらすじ

ツァーネ少年は、山奥の田舎で祖父と牧歌的な暮らしを楽しんでいた。
ところがある日、自分が余命わずかだと思い込んだ祖父は、ツァーネが一人になることを心配し、街に出てお嫁さんを見つけてくるよう命じる。
街に出たツァーネは、ヤスナという少女に一目惚れするも、マフィアのドタバタに巻き込まれてしまう。果たしてお嫁さんを連れて、無事に祖父のもとに帰ることができるのか…

 

アトラクションのような楽しいイメージが満載!

本作はクストリッツァ作品の中でも、とくにコメディ方面に思い切り舵を切った愉快痛快さが特徴です。

 

とにかく監督は「面白い!楽しい!最高!」の方にリミッターを振り切ってますね。

 

本編始まってからニヤニヤしてしまうイメージのつるべ打ちで、脳からアドレナリンが湧きっぱなしです。

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Credit:youtube

リンゴが一面に浮いた「リンゴ風呂」、祖父を叩き起こすために改造した「バネ付き跳ね起きベッド」、空飛ぶ人間大砲…

 

それから味方になるボウズ頭のいかつい兄弟、棺桶に乗ってマシンガンを打ちまくるマフィアのボス。

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Credit:youtube

初めて観たときは「なんて楽しいシーンしかない映画なんだ!」と舌を巻きました。

 

それからクストリッツァ映画のヒロインはいつも美人!

監督は作品に素人の方を多く起用することで有名ですが、一体どこから見つけてくるのでしょうか。

 

悲劇と喜劇のミックスが生み出す奇妙な快感!

監督の作品にはほぼ必ずと言っていいほど「宙吊りシーン」が登場しますね。

 

宙吊りされる本人にとっては悲劇のシーンなんですが、100パーセント爆笑シーンになってしまいます。

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Credit:youtube

ときにそれは首吊り自殺でもあるのですが、不思議なことにクストリッツァ監督の手にかかれば喜劇になってしまうんですね。

 

自殺を爆笑シーンにできるのは、世界広しといえどエミール・クストリッツァ監督ただ1人なのではないでしょうか。

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Credit:youtube

例えば、『ジプシーのとき』では、主人公がベルの縄で自殺しようとしますが、体の重みでベルが高らかに鳴って喜劇になり爆笑!

『アリゾナ・ドリーム』では、ヒステリー女が首にストッキングを巻きつけて「死んでやる〜!」と二階からジャンプ、ところがゴムの弾力で1階に無事着地し、そこから2階に向かってビヨ〜ン!、またまた爆笑!

 

『黒猫・白猫』に至ってはすでに死んでいるオジサンが首吊り状態になってますが、これがまた笑えるのです。

 

オジサンが大事なスーツケースを持っていて、それを取り返そうと男がジャンプするのですが絶妙の高さで届かない。

 

なんとかオジサンにしがみつくも、シーソーみたいになって一緒に高いところにビヨ〜ンでハイ大爆笑‼︎

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Credit:youtube

こうした宙吊りシーンは、最近作の『オン・ザ・ミルキーロード』でも出てきますし、もちろん本作『ウェディング・ベルを鳴らせ!』でも2度登場します。

 

生まれたときから母国が紛争状態にあったクストリッツァ監督にとって、周囲は悲劇に満ち満ちていたはずです。

それを示すように監督の作品は内戦や紛争の最中にあるものがほとんどですね。

 

監督にとって「笑い」は悲劇に支配されないための最良の手段なのでしょう。「悲劇」に「喜劇」が混ざることで不思議なポジティブ・エネルギーが生まれています。

 

それが快感でクストリッツァ監督作品が大好きなんです!