鑑賞注意のカニバル・ホラー『RAW/少女のめざめ』
こんにちは、キーノです。
今回の作品は『RAW/少女のめざめ』。
ジュリア・デュクルノー監督、2016年のフランス・ベルギー合作映画(98分)、R15+指定です。
この作品は世間にどれくらい知れ渡っているのでしょうか。
まだご覧になっていない方には、強くオススメしたい!と同時に、絶対観ない方が良い!との思いがあります。
ここまで鑑賞中に、衝撃と嫌悪感と空エヅキの止まらなかった映画は初めてかもしれません。
あらすじ
厳格なベジタリアンとして育てられた16歳の少女ジュスティーヌ。
彼女は両親ともに卒業し、実の姉も在籍している獣医学校に入学する。
しかしそこは常軌を逸した校則と上級生によって統治されていた。
入学の儀礼としてウサギの生肝臓を食べさせられたジュスティーヌ。その日以来、彼女の中で何かが目覚め始めた。
※本作は鮮度(RAW)命なのでネタバレはなるべく回避していますが、未見の方は宜しくお願いします。
学校の不快感がギネス記録
まず主人公ジュスティーヌのか弱い感じが良く効いてます。
太眉に細身で小柄、お洒落にも無頓着な地味っ子。
家族との外食でも食べていいのはマッシュポテトだけで、誤って入り込んでいたミートボール一個に母親は怒りを露わにし、店員に言いつける始末。
そんな弱々しい彼女が進学したのは、世にも最低の獣医学校(全寮制)でした。
入学初夜、強盗マスク姿の上級生たちに叩き起こされる新入生、ベッドや私物は外に放り出されます。
裸同然で連れていかれたのは、寮の地下にある薄暗く汚れた会場。そこでイカれた上級生たちによる乱痴気パーティーが催されていました。
翌日、新入生の集合写真の撮影時には、屋上から血のバケツをぶっかけられます。
そして上級生の代表が「先輩のことは尊き者と呼べ」と高らかに宣言。
入学の通過儀礼としてウサギの肝臓を生で食べさせられます。
大喜利「こんな学校は嫌だ」のベスト回答ではないでしょうか。本当に嫌〜な校風です。
カニバリズムの目覚め
そんな学校に放り込まれた草食少女ジュスティーヌの先が思いやられる…と思いきや!
ウサギの肝臓を口にしてから彼女の中で何かが狂い始めるのです。
その夜、あまりの痒みに起き出した彼女は全身を見て驚愕します。
めくれ始めた皮は別人に変化する脱皮のサインのようです。
それ以来、四六時中にわたって異常な食欲が彼女を襲います。
夜中にこっそり冷蔵庫を開けて生でアレを…
先生との会話中でも、自分の髪の毛をガジガジガジガジ。その後トイレにてアレが…
観ているこっちも吐きそうになりました。
そして訪れるカニバリズムの覚醒。
地味なジュスティーヌを自室に呼び出した姉アレックスは、妹の陰部を無理やり手入れし始めます。
貼りつけたガムのようなものを勢いよく剥いで抜き取る。
1回剥ぎ、2回剥ぎ、3回目…?
貼りつけたガムが皮膚にくっついて剥がれない。
焦り始めるジュスティーヌ。アレックスはハサミを持って来た。それを見て思わず姉を蹴り飛ばす。
そして起こる惨劇。失神する姉。妹は床に落ちたアレを拾う。匂いを嗅ぐ、ペロッと舐める。脳内に稲妻が走る。
…ついに目覚めてしまった。
意識を取り戻したアレックスがそれに気づいたときの表情。目も当てられませんでした。
ラストに待つ「めざめ」の真意
ここまででまだ中盤ですが、もうお腹はいっぱい。
あとはジュスティーヌの症状が悪化していくだけかなと思いきや、事態は予想外の方向に振り切っていきます。
さすがにこれ以上は喋れませんね。
そしてラストを観たとき、「めざめ」に込められた本当の意味が明らかとなります。本作には衝撃の底がありませんね。
監督のデュクルノー氏は本作が長編デビューらしく、今後の新作をとても楽しみにしたい監督となりました。
余談
余談ですが、ネオンライトの使い方とかも良かったですね。
病院の廊下でアレックスを待つ家族の中で、ジュスティーヌだけに緑のライトが不気味に当たっています。
彼女がチラと対面を向くと、同じように緑のライトで顔が光る怪しい老人と目が合いました。
僕的にこの老人もカニバルだと思うのですがどうでしょう?
それはともかく、本作は人間が本能的・生理的に嫌悪してしまう怖さが特徴です。
フレディーやジェイソンみたいな怖さがウェルダンなら、本作はまさしくレアのRAW(生肉)!
レクター博士もここまでの食欲はあるまい。
オススメしたくて、したくない衝撃のホラーでした。