ルーツがなくても好きだから『ヤング・ゼネレーション』
こんにちは、キーノです。
今回の作品は『ヤング・ゼネレーション』。
ピーター・イェーツ監督、1979年・アメリカ・101分、アカデミー脚本賞受賞(スティーヴ・テシク)原題 Breaking Away
「外国かぶれ」という言葉をよく耳にしますが、かく言う僕もかなり重度のかぶれ症です。
幼稚園の時分から、父親の影響で『スピード』のキアヌ・リーヴスのマネをしたり、音楽はビリー・ジョエルやらワム!やらシカゴばかりを聴いていました。
歌詞の意味なんか1ミクロンも理解していないのに、「この曲イイネ」なんて父と意気投合。
かぶれの化けの皮が剥がれる恥ずかしい瞬間も多々ありましたが、それでも洋画や洋楽が好きでした。
本作はまさにそんなお話。
青くて、恥ずかしくて、悔しくて、熱い、そんな映画ですね。
あらすじ
インディアナ州の町ブルーミントン。
ハイスクール上がりのデイヴは、大学に進学せず、イタリアの自転車レースに夢中になっていた。
ある日、憧れの自転車チーム「チンザノ」がイタリアから地元のレースにやって来ることに。
デイヴもレースに参加するが、チンザノチームには相手にもされず、逆に嫌がらせを受け、事故を起こす。
それをきっかけに自転車もイタリア好きも辞めてしまうが、地元で開催される自転車レース「リトル500」に仲間と挑むことを決意する。
良き仲間「カッターズ」
デイヴ(デニス・クリストファー)には、良き仲間が3人いる。
リーダー的存在のマイクを演じるのはデニス・クエイド。
『ライトスタッフ』や『オーロラの彼方へ』など、有名作に多数出演している俳優さん。
本当によくお見かけします。
「チビ」と言われたら秒でキレるムーチャーを演じるのはジャッキー・アール・ヘイリー。
『がんばれ!ベアーズ』の不良子役で登場したが、その時すでに体が仕上がっていたので、背が伸びなかったのは何となく首肯ける。
おとぼけシリルを演じるのはダニエル・スターン。
この人は何と言っても『ホーム・アローン』の泥棒役マーヴ(背の高い方)が一番印象的。
『ホーム・アローン』は、通算50回は確実に観てるので、個人的には一番お世話になっている。
以上4人が、地元の落ちこぼれ集団「カッターズ」として、最後の自転車レースに挑むこととなる。
ルーツがなくても好きだから
この物語は、自分にルーツがないものを好きになってしまった人のお話。
デイヴはアメリカの片田舎で、遠い国イタリアを好きになった。
自転車レースに心酔し、オペラを大音量で垂れ流し、付け焼刃のイタリア語を話して、愛猫を勝手に「フェリーニ」と改名する。
彼の情熱は、身の回りをイタリアで浸食させるほどだ。
自分にルーツのないものを好きになるのは、時に滑稽に見えるかも知れない。
デイヴもその現実に直面したとき、一度はすべてを捨て去る決意をした。
それでもデイヴには「好き」が、そして他の3人には「意地」が深く根を張っていた。
「ルーツが無くたって好きだからやる!」
彼らと同じ思いをしたことがある、今まさにしている方には、きっと胸のつかえが取れる素敵な映画体験になるのではないでしょうか。